この曲、身体が震える。
今日は、夜から、歌唱のレッスンに行ってきました。
わがままを言って、ある曲のお稽古を先生にお願いしました。
それは「一日の終わりに」。
大好きなミュージカル、「レ•ミゼラブル」から。
映画をご覧になった方、フォンティーヌを始め、ファクトリーガールが工場で、揃いの青い衣装で、歌うあの曲です。
あれは、英語で聞いてもリズムと滑舌がむつかしいのですが、その曲が持つ難易度プラス、日本語になると、翻訳詞独特の難しさもあり、これが、ちょーーー難しい。
ほんと、歌になる以前。
初心者のわたしなんぞ、声が出来てないから余計に。
実は、この曲は、私が「表現する」って事をもう一度やりたい、と思った原点の曲なのです。
以前、宝塚の元トップスターの先生に一ヶ月だけ、歌唱を習ったことがあります。
そこで、課題とされた二曲のうちの一曲が、この曲。
初心者が歌う、歌える曲ではありませんが、全く。
音とリズムを取るのが必死(でも結局とれてない)な私に、
ピアノを弾きながら、先生は、さすが、元娘役トップスターらしい可憐な声で「もっと怒って!」「もっと!」「もっと!」と煽るのです。
楽譜に落とされた作曲家の意図に合わせて、自分の感情をコントロールする。
あ、歌って芝居なんだ、と気付いた瞬間でした。
なんていうんだろう。
「ガラスの仮面」で、北島マヤが、トキを演じて、嫌がらせで差し替えられた泥まんじゅうを食べた時の様。
(わからんよね‥この例え)
説明のつかない感情が、身体を支配するのです。
そんな経験をした曲でした。
ミュージカル「レ•ミゼラブル」は暗くて救いのない群衆劇で、
この歌は、先生によると、かなり芝居っ気の必要なナンバーらしいです。
先生も、この曲を歌うと疲れるとおっしゃっていました。
全身汗をかいて、お稽古を終わり、スタジオを出た途端、
身体が震えてきました。
さすが、の先生のお手本。
自分の内面をコントロールする、
感情の再生産。
疲れるけど、ストレスが全部なくなるかのような爽快感も。
先日、竹中直人さんが「僕のストレス解消法は、芝居です。感情を全て発散させるから」と、インタビューで答えて下さいましたが、納得。
自ら商業演劇のプロデュースもする先輩が「磨り減った感情を、芝居を観る事で蘇らせた」とおっしゃっていましたが、それと同じ感覚。
楽曲が持つパワーと、先生の渾身のお手本。
音楽の持つエネルギーにあてられ、ふらふらになりました。
この曲を歌うと、なんでもう一度、表現することをやりたいのかを再認識できるのです。
ああ、うまくなりたいな。
ひとの感情を動かせる様な歌を、歌える様になりたいな。
まぁ、本業のナレーションでも良いんだけれども、ね。